未消化の有給休暇の処理方法は、従業員が在籍時と退職時で異なるケースがあることをご存知でしょうか。以下にてご説明いたします。
1.未消化の有給休暇の処理方法
1)在籍時
従業員が自発的に有給休暇を取らない場合、未消化の有給休暇の取扱いは法令で規定されていません。したがって、会社は以下のいずれかの方法を選択できると考えます。ベトナム人は有給休暇をすべて消化する傾向にあるので、企業は繰越を選択しその繰越期限を翌1年以内とするケースが多いと考えます。
- ①買取: 年度末に当年の未消化有給を100%で買い取る。
- ②繰越: 未消化の有給休暇を翌年以降に繰り越す。
- ③消滅: 年度末に未消化の有給休暇が消滅する。
2)退職時
労働法第114条の1項によると「従業員が退職するにあたり、すべての有給休暇を消化できなかった場合、従業員はその分を賃金として受け取ることができる」としています。つまり、会社は金銭で清算する義務があります。この買取金額は、直近6ヶ月の労働契約に記載された賃金の平均となります(政令05/2015/NDCP-26条)。
2.おわりに
未消化の有給休暇を処理方法は、従業員が在籍中は、会社が任意に決定することができますが、退職時は、法令により会社は買取義務が発生します。そこで、会社としては、有給の消化スケジュールを設定し(ベトナムの祝祭日の前後や間に有給休暇の消化日を当てる)、未消化分の繰越しを認める場合でも翌年一年に限るとし、できるだけ従業員が消化するように取り組むことが最善と考えます。これにより、労使関係が良好になると同時に、会社は多額の買取額が発生することを防ぐことができます。