従業員が退職する際の手続きはベトナム人担当者に任せきりになっていませんか。日本人責任者としては、諸手続きの概要を把握するようにして下さい。以下にて詳細をご説明いたします。
1.退職時の法令諸手続き
ベトナム人従業員が労働契約を終了する際には、主に、以下の法令に定める手続きを行う必要があります。
1)強制保険の登録解除
一定の労働期間を定める労働契約あるいは無期労働契約を締結するベトナム人は、強制保険の加入義務があり、企業は、その登録義務を負います。そして、労働契約が終了する場合、企業は、社会保険局に以下の書類を提出して、その登録を解除する必要があります(社会保険法-21条5項等)。
- 申請書(Form DO2-TS)、社会保険手帳(手続き終了後、従業員に返却)、健康保険カード(手続き終了後、会社又は社会保険局にて保管廃棄)
2)未消化有給休暇の買い取り
労働法第114条の1項によると「従業員が退職するにあたり、すべての有給休暇を消化できなかった場合、従業員はその分を賃金として受け取ることができる」としています。つまり、会社は金銭で清算する義務があります。この買取金額は、直近6ヶ月の労働契約に記載された賃金の平均となります(政令05/2015/NDCP-26条)
3)個人所得税の源泉徴収票の発行
個人所得税の源泉徴収者(=給料を支払う企業)は、受領者(退職者)より要求がある場合、源泉徴収証明書を発行する義務があります(通達111-25条2項)。退職者は、自ら行う個人所得税の確定申告に際して当該証明書が必要となります。
2.おわりに
ベトナム人従業員が退職する際は、引継ぎ業務の対応や新たな従業員の確保等に注力するため、退職者の法令手続きは、ベトナム人担当者に任せきりになる傾向があります。日本人責任者としては、法令順守に基づき、諸手続きを事前に把握することで、漏れがないかをチェックするようにして下さい。