多くの企業が定期預金で高い利息を稼いでいますが、この利息は法人所得税の税優遇(以下、CIT優遇)の対象になるのでしょうか。本件に関して、多くの公文書がその取扱いを案内しています。
- 2020年4月22日付けハノイ税務局公文書26128/CT-TTHT
- 2015年12月5日付け税務総局公文書1796/TCT-CS
- ハイフォン税務局公文書5281/CT-TTHT
- バクニン省税務局公文書1025/CT-TTHT
1.工業団地の企業に付与されるCIT優遇
法人税の詳細通達96条の10項2項によると「工業団地を含む奨励地域にて発生する事業活動から生じるすべての所得はCIT優遇の対象となる」と定められています。そして、工業団地に入居する企業に付与される現在のCIT優遇は「2免4減」(2年間免税4年間50%減税)となります。
2.預金金利はCIT優遇の対象か
上述1の通り、”工業団地内”にて発生する事業活動から生じる所得がCIT優遇の対象になるため、”工業団地外“に所在する市中銀行に預けた預金から生じる利息はCIT優遇の対象になるのかが論点となっています。各公文書によると、以下の通り取り扱われていると解します。
- 普通預金の利息:CIT優遇の対象
- 定期預金の利息:CIT優遇の対象外
3.おわりに
ベトナムドンの定期預金の金利は高率のため、多くの企業が短期間であっても定期預金を利用して利息を稼いでいます。当該利息は法人税の対象であり通常税率の20%が課せられるため、例えば、利息が100であれば手元に残るのは80となります。CIT優遇が適用され免税期間であれば、利息100はそのまま手元に残ります。工業団地に入居する企業の場合、工業団地で発生した事業から生じる所得がCIT優遇の対象となるため、当該利息は工業団地外での活動とみなされ、残念ながらCIT優遇の対象にならないと考えます。高額な利息が発生している企業は、税務リスクがある旨を十分にご留意ください。