本日のテーマは「ベンチマーク分析の情報源に関する改正点」です。本件に関して、ベトナム政府は、政令132/2020/ND-CPおよび政令20/2025/NDCPに代わる政令255/2026/ND-CPを公布しました。同政令は2026年7月1日に施行され、2026年の事業年度から適用されます。
1.ベンチマーク分析
納税者は、関連者取引が独立企間原則に適合しているかを検証するため、以下の手順に従って移転価格分析(法令上は「比較可能性分析」という)を行う(政令255-11条)。
- ステップ1:関連者取引の実質の特定
関連者取引の背景、産業分析、機能・資産・リスク分析および移転価ポリシーの確認
- ステップ2:独立企業間原則への適合性の検証
移転価格算定方法の選定、独立比較対象の選定、独立企業間価格レンジの算定および実績値との比較、必要に応じた関連者間取引価格の調整
ステップ2のうち、独立比較対象を一定の情報源から検索・選定し、その財務データに基づいて独立企業間価格レンジを算定し、納税者の実績値と比較する一連の作業を、実務上「ベンチマーク分析」という。
2.ベンチマーク分析の情報源に関する改正点
■優先順位の導入
使用できる情報源について、以下の優先順位が導入された(政令255-17条)。
- 公開情報(証券市場情報、国内外の商品・サービス取引所、国家データベースまたは政府機関・その他の公式情報源により一般に公開されている情報)
- 商用データベース
- 税務管理データベース(税務当局のみ使用可能)
■国家データベースの活用
国家データ戦略に関する決定1308/QD-TTgは、データを国家統治の基盤と位置付け、各行政機関の情報をデジタル化して国家データベース(*)を整備し、行政機関間で共有・活用する方針を示している。税務当局は、これらの情報を照合し、ベンチマーク分析で選定された企業の出資・関連者関係、機能および事業範囲から、独立比較対象として適切かを検証する可能性がある。
(*)決定11/2026/QD-TTgでは、企業登録、財務、社会保険、出入国管理など、20種類の国家データベースが指定されている。
3.おわりに
納税者は、優先順位に沿った比較対象企業の検索・選定過程を文書化しておく必要がある。これにより、税務調査における納税者の立場を強化し、税務当局が税務管理データベース(シークレットコンパラブル)を使用した場合にも、比較対象企業の選定根拠を適切に説明することができる。