本日のテーマは「アポスティーユ条約に基づく領事合法化の免除」です。
ベトナムは2025年12月31日にアポスティーユ条約に加入し、129番目の締約国となった。同条約は、ベトナムについて2026年9月11日に発効する(HCCH)。また、ベトナム政府は、同条約の発効と同時に施行される国内実施法令として、政令293/2026/ND-CPを公布している。
1.領事合法化の免除
政令293第25条によると、アポスティーユ条約の締結国の公文書(*1)であって、当該締結国の権限機関によりアポスティーユ証明(*2)が付されたものは、領事合法化が免除され、追加の認証手続きを経ることなくベトナムで使用できる。
- (*1)「公文書」とは、文書作成国の法令に基づき、権限を有する機関・個人がその職として作成した文書をいい、裁判所・司法機関関係の文書、行政文書、公正証書、私文書に付された公的証明などを含む(政令293-3条)。
- (*2)「アポスティーユ証明」とは、署名、署名者の資格および印章等を確認することにより、公文書の出所を証明するものをいう。なお、文書の内容そのものを証明するものではない(政令293-3条&4条)。
2.日本の公文書の取扱い
日本はアポスティーユ条約の締結国である。そのため、2026年9月11日以降、日本外務省のアポスティーユ証明が付された日本の公文書(*)は、在日ベトナム公館による領事合法化を経ることなく、ベトナム当局に受理される。
- (*) 一部地域の公証役場では、アポスティーユ証明までを一括して取得できるワンストップサービスが提供されている(日本外務省)。
3.おわりに
2024年8月に書記長に就任したトー・ラム氏の下、中央省庁や地方行政組織の再編など、大規模な行政改革が進められている。政府は決議66/NQ-CPにより、行政手続きの処理時間およびコンプライアンスコストを、2026年までに2024年比で50%削減する目標を掲げた。アポスティーユ条約への加入も、こうした行政手続きの簡素化・効率化の流れに位置付けられる。
これにより、ベトナムで事業を行う外資企業にとって、外国公文書を必要とする許認可手続きの大幅な効率化が期待される。