移転価格調査動向:会社単位の比較では不十分と見なされる場合
本日のテーマは「移転価格調査動向:会社単位の比較では不十分と見なされる場合」です。
1.比較可能性分析の「比較単位」
比較可能性分析とは、関連者間取引と独立した第三者間取引を、取引の実態や条件の違いを踏まえて比較し、関連者間取引の条件が独立した第三者間で成立する条件に合っているかを検証することである。その際には、どの範囲の取引を比較するか、すなわち「比較単位」を検討する必要がある。政令255/2026/ND-CP第7条1項では「原則として比較可能な製品ごとに個別の取引を単位として比較し、製品ごとの比較ができない場合、事業の性質・実態に適合する範囲で、複数の取引を集約して比較する」とされている。
具体的には、どの程度集約するかにより、以下の比較単位を検討する。
- 事業活動ごとの取引(製造・販売・サービス)
- 製品ライン・製品群
- 工場・事業部門
- 会社全体
2. 移転価格調査:比較単位の見直し
ベトナム企業の会社全体の利益率が独立企業間レンジ内に収まっていても、それだけで、すべての関連者間取引の価格設定が適切と認められるとは限らない。税務当局は、比較単位の妥当性を確認するため、事業、製品群・工場ごとなどの損益資料を求めることがある。
例えば、会社全体を比較単位とした場合の独立企業間レンジを3~7%、中央値を5%とする。
- 会社全体:利益率4%
- 製品群A:利益率2%
- 製品群B:利益率6%
会社全体の利益率は4%でレンジ内である。しかし、製品群ごとの比較が適切と判断されると、製品群Aの2%は下限3%を下回るため、中央値5%まで調整されることがある。
3.おわりに
ベトナム企業は、比較単位の検討と資料の提出に当り、以下の2点に留意する必要がある。
- 比較単位の合理性
自社の事業・取引の実態に適した比較単位を検討し、その採用理由を説明できるようにしておく。
- 提出資料の慎重な確認
日系企業でよく見られる詳細な損益資料のうち、法令上の作成義務のない管理会計資料については、安易にすべて提出せず、調査との関連性や法令上の提出義務を踏まえ、提出範囲と内容を慎重に確認する。