固定額の手当は個人所得税の計算において非課税となることをご存知でしょうか。以下にて詳細をご説明いたします。
1.非課税となる手当
個人所得税の通達111第2条2項dd.4によると「政府が別途規定する上限額を超えない固定額の手当は非課税になる」としています。同法令では、具体例として、文房具、出張、通信費、作業服に関する手当を挙げています。現時点では、これらの手当の上限額を規定する法令は存在しないと考えます。
2.手当による節税対策
上記1の固定額の手当を多く支給することで、規定上は合法的な節税が可能と考えます。一部の外資企業では、年間1から2百万ドンの医療手当を非課税として申告しているようです。しかし、実際は、どの手当が非課税として認められるか不明確なため、通達111で具体的が挙げられているもの以外を非課税で申告しているケースは少ないと考えます。
3.おわりに
ベトナムでは各種手当の設定において、その手当が、①強制保険の計算基礎となる月給に含まれるか、②時間外手当の算出における実際給与額に含まれるか、③個人所得税上で非課税収入に該当するか、を考慮する必要があります。残念ながら、上記2の通り、文房具、出張、通信費、作業服以外の固定額の手当を非課税として申告することは将来的な課税リスクが高いと考えます。