VIA Vietnam Co., Ltd

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No.290)TRCを取得すると全世界所得で課税されるのか?

ベトナム事業を出張ベースで対応されている方は、個人所得税を全世界所得で課税されるからという理由で、TRCではなく3ヶ月ビザを取得されていませんか。今回は本件に関してご説明いたします。

1.居住形態の判定

ベトナムの個人所得税における居住形態(居住者/非居住者)の判定は、課税初年度の場合は、滞在日数基準(183日以上)と居所基準(183日以上の賃貸契約または一時滞在許可書(TRC))にて行います。課税2年目以降の判定方法は、「滞在2年目における課税年度は暦年である」とのみ規定され(通達111-第6条1項a)、滞在3年目以降については規定が存在しません。2013年11月26日付け税務総局公文書4308/TCT-TNCNによると、居住形態(居住者又は非居住者)の判定は、毎課税年度にて行う必要があるとしています。

2.居所基準の例外

通達111第1条1項b.2.2によると「居所基準を満たし滞在日数が183日未満の場合は、外国の居住証明書が存在すれば、非居住者の取扱いとなる」としています。さらに、2015年09月04日付け税務総局公文書3604/TCT-TNCNでは、最終課税年度の居住形態の判定において、居住基準を満たしていても、国外の居住者証明書を提示できれば、非居住者として申告できると定めています。

3.おわりに

ベトナム事業の遂行に際して、常駐せず出張ベースで対応されている方が多く見れます。個人所得税の居住者課税(全世界所得での課税)を避けるために、183日未満の滞在とし、TRCを取得ぜず3ヶ月毎の商用ビザで入出国されています。ビザの取得には手間と費用を要しますので、その代わりに(2年間有効の)TRCを取得しても、日本の税務署より居住者証明書が発給される限り、居住者として認定されることはないと考えます。