本日のテーマは「電子インボイスの発行を要しない取引:立替金の取扱い」です。本件に関して、ベトナム政府は2026年6月30日、インボイスに関する政令254/2026/ND-CPを公布し、同年7月1日より施行しています。
1.電子インボイスの発行を要しない取引
政令254号第7条は、電子インボイスの発行を要しない8つのケースを初めて一括して規定している。
【従来から取扱いが示されていた取引】
- 資産による現物出資
- 企業内および組織再編に伴う資産移転
- 付加価値税法令に定める次のケース
- 生産工程における物品等の内部移動
- 物品・サービスの事業目的での自社使用
- 物品の販売・サービス提供に関連しない受取金
【政令254により明確化された取引】
- 法人税法令上の購入明細表の作成対象となる、個人事業者による物品の販売・サービスの提供
- 個人事業者による不動産賃貸および国外向けデジタルコンテンツサービス
- 個人事業者による宝くじ、保険および連鎖販売取引に係る代理店業務
- 再保険および一定の金融取引
- 委託加工に使用する機械・設備の無償貸与
2.立替金の回収
販売サービス提供に関連しない受領金には「立替金の回収」が含まれる。例えば、顧客のタクシー代を立て替えた場合、次の条件を満たしていれば、その回収時にインボイスを発行する必要はない。
- 顧客との間で、立替え払いについて合意していること
- タクシー会社のインボイスが「顧客名義」で発行されていること
- 立替者が、当該VATを仕入VATとして控除しないこと
- 実額のみを顧客から回収し、手数料等を上乗せしないこと
- 回収時には、インボイスではなく、デビットノートや領収書を発行すること。
3.おわりに
インボイスの発行は、一般的に会計・税務上の売上計上およびVATの申告につながるため、次のリスクに留意する必要がある。
- 本来インボイスの発行を要しない取引について発行した場合:売上やVATを過大計上
- 本来インボイスの発行が必要な取引について発行しなかった場合:追徴課税や行政罰
そのため、上記法令に照らしてインボイス発行の要否を適切に判断することが重要である。