皆様の会社では、職場における労働対話を定期的に行っていますか。また、それに必要な規則を作成していますか。本件に関して、政府は2020年3月1日、労働等に関する行政処分を定めた政令28/2020/ND-CP(以下、政令28)を発行し、2020年4月15日より施行しています。
1.職場における対話に関する規定
職場における対話とは、現行の2012年労働法より、労働争議に進展する前に、労使間での解決を促すために新たに設けられたものです。労働法63条では「職場における民主的規則(以下、民主的規則)の履行を確保する目的で、労使間で情報を共有し、相互理解を深めることを目的とした労使間の直接的な話し合い」と定められています。3ヵ月に1回は必ず行われ、一方当事者の要求によっても行われます。使用者は対話の場所を提供する義務があります(65条)。
〇民主的規則
職場における対話は民主的規則を実施するために行われるため、企業はこの民主的規則を明確にする必要があります。そこで、政令149/2018/ND-CPでは、職場の民主性に関する原則・内容・形式について定め、同政令の11条にてそれをまとめた規則を労働者と協議を経て作成し、適用前に労働者に公開することを義務付けています。
2.罰則規定
政令28の14条によると、以下の罰金が科せられます。
■以下の違反に対して50万から100万ドンの罰金
- 職場における民主的規則を制定していない
- 職場における対話を実施する場所を提供していない。
■以下の違反に対して200万から500万ドンの罰金
- 労働者から要求があったにも関わらず職場における対話を実施していない。
3.おわりに
企業の経営は企業法によると経営者が行うものですが、労働法では、民主的な方法で労働者も参画すべきものとし、それにより良い職場環境と労使関係の構築を目指しています。使用者は、労働者の意見を聞いて「民主的規則」を制定したり、要求があれば対話の場所を提供して応じなければいけません。こららを怠る場合は労務監査時に罰金が科せられます。したがって、企業としては、自らの義務を実施したこと書面にて証拠として残しておくことをお勧めいたします。