失業保険に基づく失業手当は、どのような条件でいくら受け取ることができるかご存じでしょうか。
1.失業保険制度の導入経緯
以前は長期にわたり、労働契約が終了した場合、労働法が定める「退職手当」や「失業手当」を企業が自ら従業員に支給していました。しかし、2009年1月より社会保険法に基づき失業保険制度が始まると、企業と従業員が毎月の保険料を失業基金に拠出し、失業時には従業員は「失業手当」を受け取ることなり、現在に至ります。
2.失業手当
1)受給要件
失業手当を受給する労働者は以下の全ての条件を満たす必要があります(法-49条)。
- ①労働契約が終了している
- ②労働契約終了前の一定期間に、12ヶ月以上保険料を納付している
- ③労働契約終了日から3ヵ月以内に、雇用サービスセンターに必要書類一式を提出している(法-46条)
- ④書類提出日から15日以内に職を見つけていない
2)受給額
- 失業前の6ヶ月間の平均月給x60% *地域別最低賃金の5倍を上限(法-50条1項)
3)受給期間保険料
納付期間によって以下の通り変動します(法-50条2項)。当然ながら、新たな仕事を見つけた場合には本受給は停止されます(法-53条3項)。
- 納付期間(1~3年):受給期間(3カ月)
- 納付期間(4年):受給期間(4ヵ月)
- 納付期間(5年):受給期間(5ヶ月)
- 納付期間が4年間以上は1年毎に1ヶ月受給期間が延び、最大で12ヶ月となる。
4)申請書類
以下の書類を雇用サービスセンターに提出します(政令28-16条)。
- 失業手当申請書
- 労働契約が終了した旨を証明する書類
- 社会保険手帳
3.おわりに
ベトナム人は、失業手当を受給することに抵抗感はなく、前職で12ヶ月以上働くことで3ヵ月にわたり失業手当を受けることができるため、その間に新たな仕事を見つけるケースが見られます。また、COVID-19影響下で解雇された労働者が失業手当を受給するケースが増えているものの、日系企業では解雇に至る前段階として自宅待機させ休業手当を支払っているケースが多いようです。休業手当のレベルは、労使間で合意する必要がありますが、政府が定める失業時の生活を支える失業手当の給付レベル(月給の60%)を目安とすることも一案と考えます。