出産後は最短で4ヶ月から職場復帰が可能ですが、それより以前に復帰しているケースはありませんか。その場合、出産休暇手当金の不正受給を指摘される可能性があり注意が必要です。
1.出産休暇
女性労働者に対する保護の根拠は、最高法規であるベトナム憲法にあります。2013年憲法の26条では、「国家は、女性が全面的に発展し、社会において自らの役割を発揮するための条件を創出する」としています。そこで、労働法の第157条では、女性労働者は出産の前後において休暇の取得が認められ、その期間は、1回の妊娠につき6ヶ月としています。
2.出産休暇手当金
1)支給手続き
出産休暇は有給休暇であり、社会保険基金から手当金として産休直前の6ヶ月間平均給与が産休期間にわたり支給されます(社会保険法35条1項)。具体的な支給手続きは以下の通りです。
- ステップ1 企業は対象者の社会保険の脱退手続きを行う。
- ステップ2 企業は社会保険局に出生証明書(コピー)を提出する。
- ステップ3 社会保険局は一度で6ヶ月分の手当金を会社に支給する。
- ステップ4 企業は対象者に手当金を支給する。
2)早期復帰
労働法の157条4項によると、産休前の休暇は2ヶ月が上限であり、出産後は(条件付きで)最短で4ヶ月から早期復帰が可能であり、その場合、使用者からの給与と社会保険基金からの手当金を同時に受領できます。ベトナム人女性は出産直前まで働くとよく言われますが、出産直前まで企業で働き出産後に早期復帰することで、給料と手当金を同時受給できる期間を長くすることがその理由の一つと考えます。
3.社会保険局の監査
最近、一部の地域にて社会保険局の監査が頻繁に実施されているようです。監査項目の一つとして、保険金の不正受給があり、会社からの給料と保険金を同時に受領しているケースが指摘されています。上記2の2)の早期復帰は出産日から4カ月経過しないといけませんが、それ以前に企業で働くことは手当金の不正受給と指摘される可能性があります。