皆様の会社ではどのように各種手当を設定していますか。ローカル企業では、高額な通信手当が多く見られますが、その理由についてご説明いたします。
1.各種手当の設定時における考慮事項
ベトナムでは各種手当の設定において、その手当が、①強制保険料の計算基礎となる月給に含まれるか、②時間外手当の算出における実際給与額に含まれるか、③個人所得税上で非課税収入に該当するか、を考慮する必要があると考えます。①と②は労使間で利益が相反しますが、③は被雇用者のみに影響があることに特徴があります。以下の表にてまとめています。
2.通信手当の取扱い
通信手当は、①強制保険料の月給に含まれないため雇用者に有利となり、②時間外手当の算出における実際給与額に含まれないため雇用者に有利であり、③個人所得税では非課税収入のため被雇用者に有利に働きます。各種手当の設定において、通信費は、労使双方にとって利益があるため優先的に選択されます。通信費手当のレベルは、通常月額200から300千ドンで程度ですが、ローカル企業では不自然に高額なレベル(例:月額2,000-5,000千ドン)に設定されています。これは、権限機関の調査において、不当に強制保険料と個人所得税を低く抑えているとして指摘される可能性があります。
3.おわりに
基本給は、賃金テーブル等により引き上げ幅を調整することが難しく、引き下げは実務的な困難が伴います。一方で、各種手当ては個別に調整が行い易い利点があります。どのような手当てを設定するかは、上記①から③の各項目の取扱いを確認し、労使双方にとってどのような影響を与えるのかを理解した上で、決定することをお勧めいたします。