日本政府の補助金を受けて、中国等からベトナムに生産拠点を移転する企業15社が公表されています。
1.海外サプライチェーン多元化等支援事業とは
日本政府による2020年度第一次補正予算で措置された支援事業(*)であり、COVID-19の拡大に伴い、日本のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、特にアジア地域における生産の多元化等(中国一極集中の回避)によってサプライチェーンを強靭化し、日ASEAN経済産業協力関係を強化することを目的としています。具体的には、生産拠点を移管する際(例:中国からベトナムへ)に必要となる製造設備等の費用として1社あたり1億円から50億円を補助金として交付するものです。
* 経済産業省からAMEICC(日ASEAN経済産業協力委員会)への拠出金に基づき実施するものであり、事業実施事務局として委託された「JETRO」が事業の公募・採択・事業実施支援等を行っている。
2.一次公募の結果
JETROは2020年7月17日、一次公募に応募のあった124件について審査を行った結果、30件が採択されたと発表しています。そのうち、ベトナムに生産拠点を移管する企業15社は以下の通りとなります。
3.おわりに
一次公募で採択された30社のうち、半数の15社がベトナム移管を検討しており、生産拠点としてベトナムへの注目度の高さがうかがえます。この15社のうち、6社は大企業であり、残りの9社は中小企業となっています。中国からベトナムに生産拠点の移管を検討する際に、中国では現地調達率が高いが、ベトナムでは裾野産業が未整備であり、結局中国の企業から材料を購入しなければならず、コストの削減や一極化のリスク回避を実現できないと聞き及びます。COVID-19によるサプライチェーンの見直しに際して、ベトナムへ裾野産業の企業(主に中小企業)が多く進出し、同産業が政府の支援策とともに大きく飛躍することが望まれます。